• 約 30年前。私が 20 代の現役女子レス リング選 手の時 、じつは女 子のレスリングはオリンピック競 技でありませんでした。し かし、当時、女子レスリングは世界的に盛 んになり始めており、「次こそ、オリンピック 競 技 になると言 われていた頃 でした。

    ですから、私たち女子選手は、世界に通 用 するようにと、死 にもの狂いで練 習 をして いました。その甲 斐 あって、私 は1990、91 年の世界選手権で金メダルを2度獲得し、 オリンピックは「すぐ手 に届 く夢 」だと信 じて いたのです。

    しかし、結 局 、正 式 種 目 になったのは、 2004 年 のアテネ五 輪 から。私 が引 退 して 7 年 後 のことでした。

    「手が届かなかった」という悔しい思 い。

    続けていれば良 かったという後悔 …..。

    じつは今の私にはその思いはまったくあ りません。あの時、オリンピックの舞台がな かったからこそ、今の私 がいるからです。

    今の私――。それは、指導者としての私です。私が大好きなレスリングを、子どもたちに教え、その子どもたちがレスリングを通 して成長している姿を見ることができ、オリ ンピックを一 緒に目 指 している。

    これからこのコーナーでは、私が子 どもたちとオリンピックの夢への道をどう歩んでい るのか、勝つとは何か、強い選 手とは何 か。 毎日の練習を通して私が思うことを書いて いきたいと思 います。